TUKURUとは

私たちの実現したい未来

  1. 地域のコモン(共有財産)として、農空間を未来につなぐ
    • いまでも市内の隅々まで水路がめぐる日野市。ほんの数十年ほど前までは、広がる水田や畑、里山などの農風景が人びとの気風をつくり、豊かな稔りが文化を生み出す力となっていました。人びとの暮らしは、自然と親密で調和を保ちながら営まれていたのです。そうした農風景が少なくなってしまった今だからこそ、農家さんたちが残してくれた貴重な農空間を、地域のコモン(共有財産)として、私たち市民も一緒に力を合わせて未来につなげていく。近所の農地に育つ作物に季節を感じ、収穫されたお米やお野菜が食卓に並ぶ「農のある暮らし」ができたら素敵です。
  2. コミュニティガーデンを地域に増やす
    • コミュニティガーデンは「地域みんなの庭」です。利用者ごとに区画割りされた市民農園とはちがい、参加者みんなで協力して、土をつくり、野菜を育て、収穫も分かち合います。季節折々の花も育てれば、近隣の方たちも楽しめます。そこをどのような場にするのかも、参加者で相談して決めていきます。収穫した野菜をその場で料理してみんなで食べる。マルシェもできる。イベントもできる。子どもにも大人にも学びの場ともなれば、世代や国籍、文化などさまざまな違いを超えた出会いと交流の場にもできるのです。
      そんなコミュニティガーデンが近所にできれば、だれもが気軽に「農のある暮らし」を楽しめます。
  3. 環境再生型の地域内循環をつくる
    • 農園では農薬や化学肥料は使いません。家庭から出る生ごみや落ち葉、雑草などを堆肥にして土をつります。さらには、市内の竹林を整備して出た竹材からつくる竹チップや竹炭、養鶏場でつくる完熟鶏糞も使う。そうして育てた米や野菜をもっと市民に、学校給食に。地域の畑で育てた大豆を市内の豆腐屋さんで豆腐にする。竹の皮はきれいに洗ってアイロンをかけて、おにぎり包みに。
      自然のめぐりに合わせた身近な循環にも「農のある暮らし」を感じます。
  4. 農に関わる人や団体のつながりをつくる
    • 農家さんや農協はもちろん、新規就農者の方、援農する団体、里山や緑を守る団体、農福連携を行なう団体、学校などで農業指導をする農家さん、地元野菜を使う飲食店など、日野市では農に関わる人や団体がたくさん活動しています。
      そこに協力しあい、学びあう横のつながりがもっと生まれると「農のある暮らし」が未来に広がります。

TUKURU設立の背景

日野市はもともと農村だったこともあり、農地を残し、農を生かそうとする思いに共感してくれる「農のファン」が多いのではないでしょうか。実際に市民意識調査では「日野市の良いところ」として、「水とみどり、農のある風景など自然環境が良い」ことを挙げる人が7割もいるのです。

その一方で、市内の農家や農地は減り続けています。これは日野に限られたことではなく、都市農業、そして全国の農業すべてに共通する課題です。今の日本の農は危機的な状況に置かれています。

日野市では2005年から2020年のあいだに、農家は726人から138人に、農地面積は112haから57haまでに減少し、農家の平均年齢も59.9歳から63.9歳へと高齢化が進んでいます(データ出典:農業センサス)。
このような農業者の高齢化や相続による農地の宅地化など一個人では解決できない大きな課題を抱えているのです。

こうした背景の中、「農のある暮らしづくり計画」を策定したところからTUKURUは生まれました。

2018年6月、日野市まちづくり条例に基づく「テーマ型まちづくり」計画を考える組織のひとつとして、有志の市民が集まって「農のある暮らしづくり協議会」を発足させました。
有識者を招いて勉強会や会議を何度も行ない、農業関係団体の方とも調整を重ねて「農のある暮らしづくり計画」を市長宛ての提案文書として提出。
そして、市の計画として認定されたのです。
その計画の中では、市民が主体的に活動し、行政と協力しながら農のある暮らしを実現する推進組織が必要だとされ、2020年に設立したのが「一般社団法人TUKURU」です

日野市と都市農地の歴史について

江戸に幕府が開かれた1600年代になると多くの人が江戸に集まるようになり、100年間で100万人のまちになりました。急激に増加した江戸の人々に野菜や食料を供給する農家が増えて、市場経済が生まれました。

日野の地域も 1960年代くらいまでは農村でした。豊田の地名にあるように豊かな田んぼが広がり、「嫁に行くなら日野にいけ」と言われるほどでした。日野村は1920年では約5000人、1960年では約4万人のまちでした。

1960年代からの高度経済成長で人口が東京に集中するようになると、農地はどんどん宅地化されていきました。
日野市においては、川の近くの低地部分である沖積地(万願寺・大字日野のあたり)や、これまで開発されてこなかった丘陵部等(平山・南平・程久保・百草のあたり)を中心に次々と開発が行なわれ、2020年までには4倍以上の人口18万人となりました。
これはそれだけ多くの緑や農地が失われてきたことを意味します。

こうした背景を受けて、1991年「保全する農地(生産緑地)」と「宅地化する農地(宅地化農地)」を分けるため、「生産緑地法」が改正されました。
生産緑地については、税制・振興政策など功を奏して都市農地の保全に成果が出ていましたが、バブル経済が崩壊して土地の値段が20年で3分の1程度まで下落しました。

すると、農地を宅地に転換するような政策から、やはり緑として、あるいは食料生産の場所として、都市の中に農地があっていいのではないかという声が高まり、2015年「都市農業振興基本法」が制定されました。
都市農地の位置づけが「宅地化すべきもの」から「あるべきもの」へと大きな方向転換がはかられたのです。
「都市農業振興基本計画」では、農地の多面的価値を活かす、多様な機能の発揮することが考え方として掲げられています。
人口減少と転じつつあるまちの政策として、農地をはじめ、緑地、公園、緑空間を今後まちにどのように活かして行くのかを考え、実践していく、転換期に今私たちはいるのです。


団体概要

名称一般社団法人TUKURU
設立年度登記完了 法人設立 令和2年2月7日
事務所東京都日野市内
役員等代表理事:丸木英明
理事:佐藤美千代
監事:宮崎寛康
応援団:氏家健太郎、阿江範彦、小牧雄三 続々メンバー増加中!
事業日野市を中心とする多摩地域において、誰もが農あるライフスタイルを楽しめる地域社会をつくることを目的とし、その目的に資するため、次の事業を行う。
 (1)農の活動拠点の整備及び運営事業
 (2)農のイノベーション事業
 (3)農を活かした循環型社会創造事業
 (4)前各号に附帯又は関連する事業

メディア掲載一覧

掲載年月メディア名・著書名発行執筆者備考
農のある暮らしづくり協議会
2016年3月都市農業必携ガイド一般社団法人 農山漁村文化協会小野淳
2017年10月新今こそ農業イカロス出版株式会社小野淳MOOK本
2018年5月31日東京農業クリエイターズイカロス出版株式会社小野淳
2019年農業と経済 新保奈穂美機関紙
2021年8月公園緑地 vol.82一般社団法人 日本公園緑地協会佐藤美千代機関紙
2021年9月都市農地とまちづくり 第76号一般財団法人 都市農地活用支援センター丸木英明機関紙
2021年度ランドスケープ研究特集企画記事新保奈穂美論文
2022年冬号土地総合研究 2022年冬号一般財団法人 土地総合研究所国土交通省  酒井 翔平論文
2022年3月 都市とガバナンス 第37号公益財団法人 日本都市センター日野市役所 萩原健太郎機関紙
2022年9月まちを変える都市型農園~コミュニティを育む空き地活用~株式会社 学芸出版社新保奈穂美
2023年7月都市公園 第239号公益財団法人 東京都公園協会佐藤美千代機関紙
2024年1月都市の農を考える~農的活動の新展開と《市民力農地》の提案~一般財団法人 都市農地活用支援センター丸木英明
2024年1月生産消費者が農をひらく株式会社 創森社蔦谷栄一
2024年2月ポスト2022年の都市農地一般財団法人 都市農地活用支援センター丸木英明冊子
2024年4月5日<つながる広がる 地域の食>(中)農のある町 価値生む空間 市民参加で守る東京新聞鈴木久美子新聞
2024年4月8日<つながる広がる 地域の食>(下)農を伝える 授業で育て、食べ 芽吹く好奇心東京新聞鈴木久美子新聞